ひざをいたわるケア

ひざをいたわるケア

立ったり、座ったり、歩いたり……、様々な動作ができるのは、広い可動域で曲げ伸ばしできるひざのおかげです。とはいえ、小さなひざ関節にかかる負荷は相当なもの。階段の昇り降りでは体重の約2~3倍、走っている時では約5倍の力がひざにかかっているといわれます。重労働で私たちを支えてくれているひざに「お疲れさま!」の気持ちを込めて、毎日、ゆるっと続けられるマッサージやストレッチをはじめませんか。そして、ときにはサポーターを活用するのも一つの手です。自分に合った「ひざをいたわるケア」を見つけましょう!

たった1分! ひざのお皿マッサージ

一日中、私たちの体を支えてくれたひざを、たった1分の簡単マッサージで、やさしくケアしましょう。お皿のまわりの筋肉を柔らかくほぐしてあげることで、ひざの動きがなめらかに。「明日もよろしく!」の気持ちを込めて。

マッサージ ※1

  1. 右足を前に伸ばして、手で、ひざのお皿を上下に動かす。
  2. つぎに左右や斜め方向にも動かす。
  3. 1と2を、数十秒間繰り返す。左足も同様に。
マッサージ

ひざの相棒は、太ももの筋肉

ひざの曲げ伸ばしをなめらかにして動きをスムーズに支える、ひざの大事な相棒は太ももの筋肉です。いいひざを維持するには、太ももの前面、後ろ側、内側の筋肉を曲げたり伸ばしたりするストレッチがおすすめ。ひざの負荷を減らし安定感のあるひざにしましょう。

ストレッチ1(太ももの前面あたりの筋肉) ※2

  1. 両手でイスのふちをつかみ、浅く腰かける。片方の足はひざを曲げて床につける。
  2. もう片方の足首を曲げて前に伸ばす。そのままゆっくりと下げていき、床から10cm程のところで止め数秒間キープ。
  3. 足をゆっくり下ろし、数秒休む。これを10回程度繰り返す。
  4. 反対側の足も同様に。
ストレッチ1(太ももの前面あたりの筋肉)

ストレッチ2(太ももの内側あたりの筋肉) ※3

  1. イスに腰かけた状態で、ひざとひざの間にクッションを挟みます。
  2. 両方のひざでクッションを押すように力を入れて数秒程度キープします。
  3. この動作を10回程度繰り返します。
ストレッチ2(太ももの内側あたりの筋肉)

お風呂でらくらく、ひざストレッチ

お湯の中は浮力があり負荷が軽くなるので、ムリをせずにひざのストレッチができます。身体をゆっくり暖めて、柔らかい状態にしてから始めましょう。でも、お風呂の中でもムリは禁物。徐々にひざをならして、自分のペースで続けましょう。

ストレッチ1(ひざ曲げ) ※4

  1. バスタブに座り、片方の足首を両手でつかむ。
  2. 痛くない範囲で足首を引き寄せ、そのまま数秒間キープ。
  3. もう片方の足も同様に行う。各2回程度。
ストレッチ1(ひざ曲げ)

ストレッチ2(足をゆるめる) ※5

  1. 片方の足のつけ根からつま先までをお湯に浮かせて、横にぶらぶら数秒間揺する。
  2. 上下に数秒間ぶらぶら動かして筋肉や関節をリラックスさせる。
  3. もう片方の足も同様に行う。各2回程度。
ストレッチ2(足をゆるめる)

ひざサポーターの選び方

立ち上がり、運動時、階段の上り下りなど、日常生活における様々なひざの動きをサポートしてくれるのがひざサポーターです。とはいえ、たくさんの種類があってどれを使えばいいのかわからない…。そんなあなたのために、ひざサポーターの種類や目的をご紹介します。

ひざサポーターの種類

ドラッグストアやスポーツショップ、ホームセンターなど、身近なお店で手に入るひざサポーター。こういった、家庭で使用するためのひざサポーターは、筒型に編んだ履くタイプと、ベルトで巻き付けるタイプがありますが、ここでは筒型のタイプにフォーカスして、それぞれのつくりや効果を見ていきます。

<筒型タイプ(イメージ)>

筒型サポーターのバリエーション

筒型のサポーターは、「保温タイプ」と「固定タイプ」の2つに大きく分類されますが、使用されている素材や編み方の組み合わせにより、装着感や固定力にさまざまなバリエーションがあります。

 

「保温タイプ」はのものは、高保温性の素材を使っており、締め付け感はそれほど強くなく、ひざの曲げ伸ばしを妨げません。「固定タイプ」のものは、パワーの強い糸を使い、ゴム編みの強さを部分的に変えることで、ひざ頭をしっかり固定するつくりになっています。固定力が高いことから、装着感はハードです。

 

装着感や機能性の面で、これらの中間に位置するものもあります。遠赤外線放射素材の糸を使って保温性を高めたものや、ひざの裏部分はメッシュ素材にするなどして、通気性を確保しているものもあります。

ひざの痛みや状況に合わせて選ぶ

ひざの痛みが起こる原因は、スポーツや事故のほか、加齢や軟骨障害、O脚やX脚といった形態の異常によるもの、感染症など、多岐にわたります。また、一口にひざと言っても、痛みが起こっている部位はさまざまです。骨や靱帯の損傷、関節(軟骨)の減少や変形、筋肉の炎症など、どの部位に障害が起きているかは自分では判断しにくく、またこれらが複合していることもあります。違和感や痛みが続く場合は、一度整形外科で診察してもらいましょう。

 

そのうえで、ひざを支えればよいのか、ひざを温めればよいのかを相談し、自分の状態に合ったサポーターを選ぶのがおすすめです。サイズが合っていないとサポーターの効果が十分に得られないので、試着できるお店であれば試着して決めるとよいでしょう。試着ができないお店の場合、あらかじめひざ周りなどのサイズを測って行くと目安になります。

 

ただし、サポーターはあくまで「サポートするもの」と考え、着けっぱなしは避けましょう。とくに、着けたまま就寝するようには作られておらず、思わぬ健康被害をまねくこともあるので、就寝するときは必ず外してください。

 

なお、ひざの痛みがないときは軽い全身運動をすると、バランスのよい体づくりに役立ちます。ふだんから、マッサージやストレッチなどを採り入れて、元気に歩けるひざを維持しましょう。

参考文献

※1:『NHKガッテン! 「肩」「腰」「ひざ」改善の全身らくらく体操【DVD付き】』 主婦と生活社、2016年

※2:黒田 栄史 『変形性膝関節症 正しい治療がわかる本』 法研、2009年

※3:萱沼 文子 『寝たきりにならないシニアの基本ストレッチ 』 PHP研究所、2006年

※4、5:阿岸 祐幸 編 『入浴の事典』 東京堂出版、2013年