コンドロイチン硫酸が血液流動性に及ぼす影響

目的

生体における血液流動性の低下は、心臓血管系疾患の重要な誘因の一つである。環境の変化に対して、自律神経系や内分泌系を通じて、末梢血管抵抗や心機能を変動させて、循環系は調節される。また生体へのさまざまな刺激は血小板凝集能、白血球粘着性、赤血球変形能などの性質を変化させる。これらによる血液性状の変化と循環系の変動とが一体となって血液流動性が決定すると考えられている。しかしながら、どのような刺激がどのように加わることで血液性状が変動し、生体に影響するかなど客観的な報告は少ない。

今回、ヘパリン様物質であるコンドロイチン硫酸の経日投与が、血液流動性およびその変動要因の一つである血小板凝集に与える影響について検討した。

方法

約100gのウイスター系雄ラットを用いた。コンドロイチン硫酸の投与量は、ヒト常用量に相当する20 mg/kg、その倍量にあたる40 mg/kgとした。薬剤を蒸留水で溶解したものを、経日胃管を用いて、1日1回,3日関連続して与えた。対照群ラットに対しては実験ラットと同量の蒸留水を同様の方法で経口投与した。

薬剤の最終投与日の翌日、ペントバルビタール麻酔下で開腹し,下大静脈より採血した。血液サンプルは、ヘパリンナトリウム、EDTA-2K、クエン酸ナトリウムで凝固を阻上し、ただちに各検査に用いた。ヘパリンナトリウムおよびEDTA-2Kを添加した血液サンプルはMicro Channel Array Flow Analyzer(MC- FAN)による血液流動性の検査に用いた。

また、クエン酸ナトリウムを添加された血液は、血小板凝集能測定装置(PA-20)による血小板のADPに対する反応性の検査に用いた。

結果および考察

MC-FANにおける血液通過時間は、コンドロイチン硫酸投与群では対照群に比べ有意な減少(p<0.05)を示し、流動性の亢進がみられた。また、血小板凝集能についてもコンドロイチン硫酸投与群では凝集の指標となる大きな凝集塊形成が低下(p<0.05)し、凝集能が低下した。これらのことから、コンドロイチン硫酸の経日投与は、血小板凝集能を抑制することで血液流動性の改善を促すことが示唆された。 

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